
ども。nacanonです。
DTMでの制作時にミックスで何かもの足りない感じがして、音を埋めたい時が下記のようにあったりしませんか。
- ボーカル、ギター、ベースなど少数編成の音源で楽器を増やさず、空間を埋めたい。
- レコーディング後、再度レコーディングせず音源に空間に広がり持たせたい。
(もう1回レコーディングしろ!ってお声は受け止めます)
そんな時、「ハース効果」が使えそうです。
ハース効果はHelmut Hass氏が証明した先行音効果で異なる方向から同じ音が聞こえた時、最初にくる音によって音の方向性を持たせる効果の事。
応用してPAで広い会場などの時に使われたりするらしいです。
なるほどわからん。まあ百聞は一見に如かずでやってみましょう。
目次
ハース効果を検証してみる。
①左右トラックに定位を振りきってる状態
1つのモノラル音源をコピーし2トラック用意し、真ん中から、音が聞こえるようにしている状態(左右に定位を振る)を作成します。
これを元に検証してみましょう。
②右トラックの音を28ミリ秒遅くした状態
次に右トラックの音を28ミリ秒ほど遅くしてやると音像はスピーカの中央から左に定位しているように聞こえます。
この効果のポイントは焦点として左に定位しつつも空間的に右まで広がっている点です。
③右トラックの音を28ミリ秒遅くして、6db音量を下げた状態
さらに先ほどの遅らせた右トラックの音を6dBほど減衰させると、
左トラックの定位感はそのままで右トラックは目立たなくなり、
より自然に聴こえるので隠し味的に空間を埋めるのに最適ですね。
検証した音源のようにギター1本やピアノ単独などの時に使えそうですね。
④右トラックの音を28ミリ秒遅くして、6db音量を上げた状態
今度は逆に右トラックの音を6dBほど上げてみると、個々のスピーカーのセッティングなどによる差は出ると思いますが、左に定位しているものの右が目立ってきてよくわからない定位感になってきています。
これはケースバイケースでアリかもしれません。
おそらくpinbackがうまくハース効果を使っている気がしました。
名曲「Penelope」なんかはボーカルの音像が独特ですね。
まとめ
ハース効果の条件をまとめます。
- 同じ波形の音が二つあること(AとBとします)
- AとBの音のズレがおよそ1~35ミリ秒以内であること
- 遅延しているBの音がAの音よりも約10dB以内の音量差であること。
Bの音つまり、遅らせている音は指向性を示さないけど、
空間的な役割を担っていることがおわかりいただけたと思います。
しかし、今回検証したように愚直にやってしまうと、コムフィルタ効果が生まれてしまったりする原因になるので、一度ステレオ→モノラルにして注意して使うのが吉ですかね。(愚直にやるにしても③の検証が無難ですね)
他のトラックとの兼ね合いやモノラルで聴く場合を考慮すると、
EQやピッチを微調整する必要がありそうです。
ハース効果については下記の書籍「Mixing Audio」を参考に検証しました。
その他、ミックスにおけるソフトからハードまでのツール、エフェクトの扱いからその歴史や音響的な知識までかなり掘り下げていて、
とても為になる書籍でかなりオススメです。
最後によく音楽における感性やら、
音楽理論についてしばしば2元論的に語られることがあります。
しかし、そこに至るまでに音の物理的作用が、
前提にあると言うことも視野に入れてみるとわくわくするかもしれません。
いやしかし、改めて人間の耳って面白いですね。それではまた。